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Small talk ~紡ぐ~

1. 小又川水力発電所のこれまで

2019年3月22日

1. 小又川水力発電所のこれまで

伊東:森岡課長は何年に村役場に赴任されたのでしょうか。

森岡:役場職員になったのは平成3年ですけれども、それまでは民間におりました。
小又川水力発電所の工事が始まったのがちょうど平成3年で、入った時にいきなり下北山スポーツ公園の担当になりました。

発電された電力をスポーツ公園で自家消費し、残りを売電する仕組みでしたので電力を使う側でした。運転開始の平成5年当時もスポーツ公園におりましたので、そういう意味では運転当初から発電所とずっとつながっていたということになります。

左:下北山村役場 / 右:下北山村の自然とスポーツ公園

伊東:スポーツ公園の維持管理。例えば緊急停止すると通信が飛んできたりとか、そうした業務では当初から関わりは持っておられたんですよね。

森岡:そうですね。なんらかのトラブルで停止した時には、スポーツ公園で若干の操作をしたり、発電設備へ出向いて操作をしなければならないこともありました。そうして携わっていたことで少しずつこのシステムも理解していったというか。

伊東:今でこそ再生可能エネルギーをできるだけ使っていくことが大事だということが社会通念になっていますが、それ以前の時代っていうのは割とじゃまくさいというか()。「なんでわざわざこんなことしてるんやろなぁ」っていうようなところはおありだったのかなとは思うんですけど。

森岡:スポーツ公園の職員にとっては仕事量が結果的に増えちゃったところもありました。
ただ、村の立場で言うとやはり電気を自家発電して使えるということで、相当な節電効果がありました。だから小又川発電所はスポーツ公園の経営的にはだいぶ寄与していると思いますよ。

 

伊東:小又川では、過去に何回か大きな災害があった。2004年には台風による水量増加で取水施設が壊れ、土石流により発電所の中も浸水しましたよね。

森岡:あの時の災害は、発電所だけにとどまらず村内全域で道路も流出したり、林道も含め村のインフラには相当な被害がありました。

伊東:2011年には台風が来る少し前に、ちょうどその電気関係の具合が悪くなったということなのですね。

森岡:台風災害で止まり、電気関係のトラブルで止まって、結果的に一年ちょっと止まっていました。
ある程度原因がわかった時点で修理は可能だったのですけれども、すぐには財源が確保できず、その翌年に修繕をして再開となりました。

伊東:結局元々の水車メーカーがもうその時存在しなかったのですよね。

森岡:でも、やっぱり発電所は、村にとってもスポーツ公園の経営にとってもすごく寄与してきましたし、深い意味がありますね。ただね、設備自体が山の中にありますし割と地味な存在というか、あまりみなさんはご存知ないように思います。

伊東:そうですよね。発電所の中に入られた村民の方もそんなにおられない感じですよね。

森岡:だから村民自体の認知度も低いですし、役場の一般職員の意識も関係者以外はそんなに高くなかった。今でこそエネルギー関係に非常にみなさん興味を持たれていますけど、当時は時代性もあってあまりそういう意識はなかったのかなと思います。

左:下北山村役場 森岡さん、右:株式会社コープエナジーなら 伊東さん

伊東:我々は最初、確か2015年の秋に下北山村役場にお伺いして発電所のことをいろいろとお聞きしました。発電所を更新してFIT(フィット)(注1)も活用しながら売電してはどうでしょうかという事を申し上げたと思います。

(注1)固定価格買取制度。再生可能エネルギーの普及を目的として、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間電気事業者が買い取ることを義務付ける制度。

 

森岡:そうですね、実はならコープさんから提案をいただく前に FIT制度が始まって、新電力会社もどんどん出てきてましたよね。

それで、村としてもFIT制度でもっと高く売電できないかなという思いがありました。いろいろ調べたりしていましたが、もう主要な設備を全部入れ替えて再スタートしないと無理と言うことで、費用面でも諦めてかけていました。
新電力会社から発電所の余剰電力を調達したいという提案もありました。

ただし、その会社の財務状況の見極めも必要ですし、慎重に検討が必要でした。そんな時、コープエナジーならから提案いただいたわけです。
ならコープは、以前から村民の生活支援、特に買い物支援などすでに村と話を始めてもらっていたという経緯もありました。
それで、提案していただいた内容というのも、まず調査をさせてほしいと。

伊東:2013年に東吉野村で小水力利用推進協議会を地域の方々が主体となって発足され、「つくばね水力発電所」を復活される検討を始められました。
そうした動きもならコープグループとして支援しながら、2015年に株式会社コープエナジーならを設立しました。

趣旨としては、生協としてのこれまでの地域とのつながりをベースにしながら、地元の人と一緒に再生可能エネルギー事業に取り組むことをやらないといけないと考えていました。

その一環でいろんな地域、いろんな川を訪問させていただいていた中で、例えば川に水があるように見えても、導水路が敷設できるロケーションなのか、発電所やヘッドタンクが設置できる土地があるのかなど、発電事業を行うための適地であるとは限らないケースも多くありました。
その点、既に開発・運営されている発電所のある地点は、出力増強を行えれば事業としての確度は高いと考えました。

 

 

2. 動き出したプロジェクト」

 

プロジェクトの詳細は以下の募集ページに掲載しています。ぜひご覧ください。

【下北山村 小又川水力発電所更新プロジェクト プロジェクト概要】

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