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Small talk ~紡ぐ~

2025年7月10日

2. 2024年度より始動!那覇市版SIBの3つの特徴

 

(1)段階的な2年間のプログラムで「自走」を支援

那覇市版SIBでは、公募によって選ばれた市民活動団体が持続的に活動できるよう、2年間の手厚い支援プログラムを用意しています。

2年間の資金支援と伴走支援

【1年目:準備期間 】
・那覇市から50万円の直接助成を受け、翌年度のSIBプロジェクトに向けた準備を進めます。
・専門家からの助言や「地域円卓会議」の開催支援を通じて、地域課題や事業内容の調査・実証を行います。

【2年目:SIBプロジェクト実施期間】
・市民から50万円の出資を募り、その資金でプロジェクトを実行します。
・プロジェクト期間中は、専門家の助言に加え、市民からの共感や応援も得ながら取り組み、地域課題の解決を図ります。
・この2年間で団体としての基盤を固め、3年目以降は自力で活動を継続できる状態(自走)をめざします。

(2)市⺠と連携を深める「地域円卓会議」の開催

那覇市版SIBでは、地域全体で課題解決に取り組むために「地域円卓会議」を定期的に開催します。「地域円卓会議」は、市⺠をはじめとする多様な関係者が一同に会し、地域の課題やその解決策について考えていく「協働の場」です。

・市民はこの会議を通じて、これまで知らなかった地域の困りごとや、それを解決しようとする市民活動団体の取り組みについて、深く理解できます。
・市民活動団体と市民が直接対話することで、活動の担い手と応援者の関係が築かれるきっかけにもなります。
・市民が主体的に地域活動に参画することで、活動継続に課題を抱えていた団体も、新たな応援の輪を得て、地域に不可欠な存在へと成長していくことが期待されます。

(3)専門家による徹底した伴走支援

SIBの大きな特徴は、成果を明確にすることで社会課題への効果を測定できる点です。

・専門家が継続的に伴走し、成果目標の設計はもちろん、課題の構造化なども支援します。
・活動がより効果的で持続可能なものになるよう、多角的な視点からサポートを提供します。

上記の支援を受けることで、市民活動団体は2年間の取り組みを通して成長し、最終的には自走への道を着実に歩んでいきます。

 

伴走支援をする専門家からのメッセージ

平良斗星さん 公益財団法人みらいファンド沖縄 副代表理事

公益財団法人みらいファンド沖縄平良斗星さん伴走支援を担当していて大切にしていることは、事業者が本当に課題だと思っていることを丁寧に聞いたうえでSIBという出資を伴う事業との折り合いをつけていくことかなと考えています。
事業者の思いを出資者にもわかりやすく、事業成果の指標設定をしていくプロセスは、行政の方を含む様々なステークホルダーの納得度も意識しながら行っていく作業です。
私達伴走者は、事業者に寄り添い、時間をかけたヒアリングを通して、この事業で重要視されている「地域のつながりの可視化」「つなぎ直し」という視点から地域の直面する課題に対して、どんな人がどんな風に関わると地域は変わっていくのかという問いを立て、一緒に指標をつくるお手伝いをしています。
このプロセスの中で、地域にもたらされた新しい価値をみんなで分かち合える瞬間に立ち会えることに、ワクワクしながら過ごしています。


幸地正樹さん ケイスリー株式会社 代表取締役社長

ケイスリー株式会社幸地正樹さん伴走支援をする中で特に意識してきたのは、挑戦する勇気を丁寧に後押しすることでした。
SIBという前例のない手法に挑む中では、「何を優先すべきか」という迷いや壁に直面することが多くあります。実際、「地域でのつながり」「健康」「フードロス削減」など、多面的な価値の中で何を成果とすべきか、迷う場面がありました。
その際に、丁寧に対話を重ねた結果、「地域でのつながりこそ最も大切だ」ということが明確になり、活動の方向性が定まりました。
那覇市のSIBの取り組みは、このような対話を通じて地域が一体となり、課題解決に取り組む新しい文化を育むきっかけになります。ぜひ皆さまのご出資を通じて、事業者の挑戦を応援し、地域に希望を広げ、那覇市の未来を共に創っていただければと思います。

 

那覇市の「協働」とSIB導入の背景

那覇市がこのような取り組みに踏み切った背景には、「めざしたい地域社会の姿」があります。
那覇市では1998年より「まちづくりの基礎は協働※」という考え方を示して、地域づくりを進めてきました。その理念は、現在の「第5次那覇市総合計画」にも引き継がれています。さらに「協働」は、SDGsの理念や17のゴールとも重なるものです。これらを掛け合わせ、那覇市では「なはSDGs推進事業」として、市民や市民活動団体が関わる協働の仕組みづくりを進めています。

※協働・・・多様な主体が同じ目的のために、それぞれの特性を活かし、影響し合いながら、協力して取り組むことです。
(那覇市協働の手引きより)

第5次那覇市総合計画 めざすまちの姿

・多様なつながりで共に助け合い、認め合う安全安心に暮らせるまちNAHA
・互いの幸せを地域と福祉で支え合い誰もが輝くまちNAHA
・次世代の未来を拓き、豊かな学びと文化が薫る誇りあるまちNAHA
・ヒト・モノ・コトが集い、育ち、ひろがる万国津梁のまちNAHA
・自然環境と都市機能が調和した住み続けたいまちNAHA


那覇市には多くの市民活動団体が存在しますが、活動持続にあたり「資金調達」「仲間を増やすこと」について課題を抱える声が多く聞かれます。
持続可能な地域社会を実現するためには、まずその活動そのものが持続可能でなければなりません。
そこで着目したのが、従来の補助金とは異なる、新たな資金循環の仕組みであるSIBです。
市民の応援を「出資」というかたちで受け取り、成果を出すことで信頼と資金を循環させるSIBは、まさに地域社会に必要な新しい応援のかたちだといえます。

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