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Small talk ~紡ぐ~

特別インタビュー「東近江市SIB 田園にとけこむシェアオフィスsubaco.を育むプロジェクト」

「東近江市SIB 田園にとけこむシェアオフィスsubaco.を育むプロジェクト」

運営者 subaco.プロジェクト 代表 藤田彩夏さん

 

2019年度のコミュニティビジネススタートアップ支援事業の東近江市版SIBに取り組まれた「subaco.プロジェクト」は、東近江市百済寺町の空き家を改修し、琵琶湖と田園広がる環境でシェアオフィス「subaco.(スバコ)」を展開しました。

新しいつながり 、ビジネス 、クリエイティブな発想が生まれる場、地域資源と地域内外の方をつなげる拠点としての発展を目指しました。

東近江市版SIBでは無事に成果目標の達成を果たし、SIBが終了した現在も精力的に地域での活動に取り組まれています。

そんな「subaco.プロジェクト」のその後について担当者の藤田彩夏さんにお話をお伺いしましたので、ご紹介します。


東近江市SIB特集ページ
東近江市SIB 田園にとけこむシェアオフィスsubaco.を育むプロジェクト詳細ページ
成果報告動画

 

【1】プロジェクトアセットでのチャレンジについて

SIBでのプロジェクトアセットにチャレンジしようと思われたのはなぜですか?

資金面でサポートが欲しく、またSIBを通して百済寺町のPRになることを期待し、挑戦することを決めました。行政の方からご紹介があり、この仕組みを教えていただきました。
出資型(市民出資が原資)ということは初めから理解していましたが、いざスタートすると従来の補助金との違いに戸惑いました。
事業者の観点からお伝えすると、東近江市版SIBは、簡単に以下の4つの流れで事業が進みます。

①事業提案→事業採択

②出資募集→出資者向け説明会での事業説明

③プロジェクト実施期間:中間報告会で事業報告・出資者交流、相談会で有識者・中間支援組織と事業相談

④プロジェクト終了:実績報告→成果審査→出資者への償還→事業報告会の実施

中間支援組織の三方よし基金さん、事業支援者のNPO法人まちづくりネット東近江さん、出資募集の支援をいただいたプラスソーシャルインベストメント(株)さん、審査会や相談会でお話をさせていただくいた委員さん、そして出資者さんなど、各ステップで様々な関係者とのつながりができること、事業へのアドバイスをいただく機会が多いことに驚きました。

SIBでは、総額50万円の募集を行い23人の出資者に応援をいただくことができました。
出資型での挑戦は初めてだったので不安でしたが、応援をいただくからこそはきちんと成果を出していきたいといった気持ちが強くなり、緊張感を持ちながら事業を進めることができました。

また、従来の補助金と違い、資金使途に柔軟さがあったのは大変好印象でした!

SIB(Social Impact Bond:ソーシャル・インパクト・ボンド)とは:官民連携のための仕組みの一つ。地方自治体が民間に事業を委託する際に活用する成果連動型民間委託契約方式(以下PFS:Pay For Success)と呼ばれる仕組みに、投資家からの資金提供を組み合わせたもの。

SIBにチャレンジされてみていかがでしたか?

シェアオフィスは通常、駅前等のアクセスがいい場所にありますが、チャレンジしたのは農村のシェアオフィスです。
田園広がる環境でのシェアオフィスを行うことに面白さを感じ、その面白さを提供すること、また地域貢献を意識してそれらを同時に行うことを大切にしました。

SIBにチャレンジしてみてよかったことは、出資者と交流ができたことです。
出資者から貴重なアイデアや意見を沢山いただくことができ、シェアオフィスの運営や募集方法に活かすことができました。
シェアオフィスを開始した当時やSIB事業期間中の出資者の声は、非常に勇気づけられるものとなりました!

−出資者から頂いたお声の一例−

①質問及び意見

・「subaco.」は宿泊できないのでしょうか。都市部の方の利用を考えた時に、宿泊できると便利だと思います。

→藤田さん:旅館業の簡易宿泊営業の許可を取得するためには改装が必要です。現在、宿泊施設として提供できない状況です。ただし、オーナーとは賃貸借契約を結ぶため、オーナーが利用する場合に限り、自由に使用いただくことができます。1日利用者の場合は、仮眠スペースで休むことができます。

 

②アドバイス

・チラシに利用者さん募集となっていますが、subaco.のコンセプト的にも「利用者(村人)さん募集」にした方が合うのではと思うので検討してみてはいかがでしょうか。

・チラシの「こんな人に来てほしい!」の部分ですが、もう少し具体的にしてみると利用する側としてイメージがしやすいと思います。

例:②③などのご意見を踏まえ、チラシのブラッシュアップを行いました。

広報チラシ:ブラッシュアップ前(左) / ブラッシュアップ後(右)

③プロジェクトに対するコメント

「地域のために動いている藤田さんを応援したい!」と思い、出資をしました。東近江市版SIB事業は、出資だけに留まらず、こうして顔が見える関係になって活動について色々お話が聞けること、一緒になって活動について考えることができるところが魅力だと思います。成果目標達成に向けて活動が順調に進んでいることを知ることができて良かったです。引き続き、応援させていただきます。

【SIB事業中間報告会の様子(出資者との意見交換の時間) 場所:subaco.】

−成果目標の達成について−

①ペルソナ(サービス・商品の典型的な利用者像)を設定して広報活動

具体的なペルソナ設定を行い、ペルソナを中心にチラシ配布を実施。チラシは、利用者や出資者、関係者から頂戴した意見を参考にブラッシュアップし再作成しました。また、WEBページの立ち上げ準備をし、活動内容を発信できるツールの作成を行いました。(※現在は一時停止中)

 

②市内外で月額利用オーナーを10人集めるー

モニターからの意見を集約したモニターリストを作成し、ニーズを調査しました。「ゆっくり過ごしたい」、「静かに過ごしたい」「疲れを癒す、リフレッシュの場になれば」、「普段出会えない人との交流に期待したい」、「畑を少しでいいからやってみたい」「意外とすぐに行き来できるから良い(大阪在住)」といったニーズや意見があることがわかりました。

10名の方が月額利用オーナーとなりました。

 

③地域とのつながりの構築(自治会との連携プログラムづくり)

・2019/7/20(土):百済寺ブランド認証協議会という自治会も参画している地域団体と龍谷大学の学生で意見交換をsubaco.で実施

・2019/12/20(金):百済寺樽の関係者とのミーティングをsubaco.で行いました。

・20220/1/5(日):百済寺町の初集会にて全員に資料を配付し、subaco.の説明を行い、地域の方々に理解いただきました。

・2021/1/18(土):地域の方向けにオープンデーを開催。4人の方が来訪いただきました。

【2】チャレンジ後の今

今現在、活動状況はいかがですか?具体的な活動内容、またこれからへの意気込みを教えてください。

現在、月80%の稼働率で順調に進められています。
コロナウィルスの影響もあってイベントは自粛しておりますが、利用者同士の交流は積極的にするようにしています。
また、単発利用の方をもっと増やしたいと考えています。
今後は、「subaco.」の施設にもう少し手を加えて、使える範囲を増やしたいです。

「subaco.」の利用者の一例をお伝えすると、利用者のうち近隣にお勤めの2名の方がセカンドスペースとして利用をされています。
コロナウィルスの影響で移住相談が多く、お試し移住で個室を使って、短期利用される方もいらっしゃいます。現在は、コロナウィルスの影響で利用方法を変更しており、一棟貸しは行っておらず、部屋貸しか共有スペースの利用のみとしています。
外部から人が来ることに敏感な住民の方に配慮したいという気持ちが強くなり、新規の方は知り合いの紹介のみで対応を行っています。
それでも十分稼働している状況です。

今後も利用者や住民に心地の良いシェアオフィスとして位置づくよう百済寺町で頑張っていきます!

【シェアオフィス「subaco.」と藤田さん】

【3】メッセージ

 出資されたみなさまや、社会的投資に関心をお持ちのみなさまへメッセージをお願いします。

出資者のみなさまが目に見えてわかることで、プロジェクトのやる気度が上がりました。
思いもよらないアイデアや貴重なご意見を直接いただけたことが大変良かったです!

こういった仕組みのおかげで、活動の幅や関係者のつながりが広がりました。
これから出資をされる方は、事業者にアイデアをどんどん出すのも良いと思います!

出資者のみなさま、事業への応援をしてくださったみなさま、本当にありがとうございました。
引き続き、subaco.プロジェクトの活動を見守っていただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願い致します。

 

 インタビューを終えて

通常の補助金との違いやSIBへの新しい挑戦に最初は戸惑いながらも、SIBを通して様々な関係者や出資者との出会い・つながりに勇気づけられ、地域をより良くしたいといった気持ちが強くなったという藤田さん。

藤田さんは、現在subaco.プロジェクトでの活動以外にも、様々な地域の活性化に関する取り組みを行っておられます。

その1つである藤田さんをきっかけとした幻の銘酒復活プロジェクトの「百済寺樽プロジェクト」では、「百済寺樽」を通じて百済寺町の魅力を発信し、来訪者及び関係人口の増加を目指されています。

「百済寺樽プロジェクト」は、内閣官房及び農林水産省が実施する『近畿「ディスカバー農山漁村の宝」』(第四回)にて選定され、その実績が認められました。

百済寺樽プロジェクトのYouTubeチャンネル」にて藤田さんも出演し、地域のPR動画を公開しています。

SIBが藤田さんにもたらしたものは、事業を進めるために集めた出資金だけでなく、出資者や関係者からのあたたかい応援、事業を通して生まれた関係性や地域に対する気持ちの強さなどでした。

今の藤田さんの活動にもそれらが深く結びついておられるようでした。

これからも百済寺町を中心に面白い動きをつくること、地域の課題に寄り添いながら地域の魅力を高めることに邁進される藤田さんに目が離せません!

藤田さんの今後のご活躍も楽しみです。

subaco.プロジェクトの藤田さん、ありがとうございました!

東近江市SIB 田園にとけこむシェアオフィスsubaco.を育むプロジェクト

プロジェクトの詳細は以下からご覧いただけます。

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