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バイオマス発電の現状と今後の発展について

近年、脱炭素が国際的な課題とされ、CO2削減の取り組みが各国で進められています。再生可能エネルギーを用いた発電の普及は、CO2削減への有効な手段として期待されています。
なかでも、動植物から生まれた生物資源(化石燃料を除く)であるバイオマスを燃料に発電を行う「バイオマス発電」は、天候に影響されない安定した発電量を確保できるという特徴から、注目を集めています。

本レポートでは、導入が推進される再生可能エネルギーの中でのバイオマス発電の位置づけ、現状や課題などをお伝えします。

 

再生可能エネルギー、バイオマス発電とは

「再生可能エネルギー(再エネ)」は、エネルギー供給構造高度化法にて、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されています。
具体的には本レポートで紹介するバイオマスや、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱などによって作ることのできるエネルギーを指します。
(再生可能エネルギーについては、レポート「日本の再生可能エネルギーの割合と今後の普及について」をご参照ください。)

再生可能エネルギーとは

 

バイオマス発電は、動植物から生まれた生物資源(化石燃料を除く)であるバイオマスを燃料に発電を行います。バイオマス資源はCO2を吸収して成長します。
そのため、「京都議定書」においてバイオマス発電は、実質的にCO2を排出しないものとされています。

発電に用いられるバイオマスは発電所により様々です。大型のバイオマス発電所では海外から輸入された木質ペレットなどのバイオマス燃料が用いられ、小型のバイオマス発電所では、家畜排泄物や林地残材などの地域資源が用いられる傾向があります。

※京都議定書とは、1997年の地球温暖化防止京都会議で採択された、先進国の温室効果ガス排出削減について法的拘束力のある数値目標などを定めた文書です。開催地だった京都の名を冠しています。

 

バイオマス発電の特徴

再生可能エネルギーの中でも、太陽光・水力・風力・地熱などの自然エネルギーは、発電効率が天候によって左右されます。対してバイオマス発電は、燃料となるバイオマスを供給することで安定した発電が可能です。
また、バイオマス発電はその方法により3つにわけられ、バイオマス燃料を直接燃やす「直接燃焼方式」、バイオマス燃料を燃焼効率の高いガスに加工してから燃焼させる「熱分解ガス化方式」、生ごみや汚泥の発酵によるメタンガスを用いる「生物化学的ガス化方式」があります。それぞれ、バイオマス発電に伴い生じた熱はエネルギーとして回収・再利用ができます。

バイオマス発電の特徴

課題として、バイオマス資源がそれぞれの地域に分散しているため、発電所が小規模分散型の設備になりがちであり、コストがかかるという特徴があります。
大型のバイオマス発電所の場合はコスト効率が上がるものの、海外から輸入された木質ペレットやパーム油などを燃料として用いることが多く、国際的な資源価格の変動に影響を受けます。加えて、バイオマス燃料の輸出入によるCO2の排出、バイオマス資源輸出国での森林伐採や児童労働の問題などが懸念されています。

 

日本/世界におけるバイオマス発電の現状

日本で発電される電力のうち、バイオマス発電は2.9(2020)を占めます。
再生可能エネルギーの中では14.6(2020)を占め、太陽光・水力につぐ発電規模です。発電量(kw)2010年から2020年の10年間で約2倍に増加しており、電源構成における再生可能エネルギーの増加に貢献しています。

しかしながら依然として、日本の電源構成は石炭や天然ガスによる火力発電に依存した状態です。CO2排出量が多いだけでなく、石炭や天然ガスは日本国内における産出量が少ないため、燃料のほとんどを輸入に頼る現状です。
日本のエネルギー自給率は11.2%(2020)と低く、国際的な資源価格の変動に大きく影響されやすい状況です。

日本の電源構成比グラフ

グラフ1 電源構成比(発電量) [参考:経済産業省資源エネルギー庁「総合エネルギー統計 ]

世界において、バイオマス発電の発電量は年々増加傾向です。
しかしながら、木質ペレットなどのバイオマス燃料を輸入に頼る場合、バイオマス資源輸出国の森林破壊や児童労働などが行われている可能性があり、持続可能性に貢献しているかの認証制度が必要です。

バイオマス発電の世界地域別構成グラフ

グラフ2 バイオマス発電の世界地域別構成 [参考:REN21「Renewables 2022 Global Status Report」]

 

日本におけるバイオマス発電の発展

2002年、「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定されました。これは農林水産省が中心となって作成したもので、地球温暖化の防止や農産漁村活性化などの観点から、バイオマスの利用を促進する構想です。その後、バイオマス利活用状況や京都議定書の発効などに鑑みて、2006年には戦略の見直しが行われました。
この「バイオマス・ニッポン総合戦略」のもと、国産バイオマス燃料の導入や、林地残材等の未利用バイオマスの活用などが推進されてきました。

 2012年には、再生可能エネルギーで発電される電力の価格を国が約束する「固定価格買取制度(FIT制度)」が始まり、バイオマス発電はその対象となりました。これを受け、安定的に稼働できる再生可能エネルギーを用いた発電として注目を集め、バイオマス発電所の新設が行われてきました。
しかしながら、国際的なバイオマス燃料の価格高騰に影響され、燃料を輸入に頼る大型バイオマス発電所を中心に撤退が相次いでいます。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻がバイオマス燃料高騰に拍車をかけています。

バイオマス燃料の輸出入が多量のCO2を発生させることへの批判も高まっており、燃料を輸入に依存する大型のバイオマス発電所は、厳しい状況が続きそうです。

木質ペレット輸入量推移グラフ

グラフ3 木質ペレット輸入量推移[参考:財務省貿易統計]

 

バイオマス発電の今後
  • 燃料費の高騰

バイオマス燃料を輸入に頼る大型バイオマス発電所を中心に、世界的な燃料費の高騰が影響を及ぼしています。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻が拍車をかける見込みです。
バイオマス燃料が値上がりすることで、燃料を輸入に依存する大型バイオマス発電所が不採算となり事業撤退する事例が相次いでいます。そんな中、小型のバイオマス発電に活路を見出す動きがあります。

  • 新たなバイオマスの発見、小規模の活路

小規模分散型のバイオマス発電は、コスト効率が課題とされてきました。
しかし、小型バイオマス発電は、資源の地産地消が促進され電源が分散される点で、エネルギー安全保障の観点から注目を集めつつあります。
バイオマス発電の燃料に生ごみや間伐材などの地域資源が用いられるなど、エネルギーづくりによって雇用と地域資源が再生され、経済がつながる地域内循環の事例も生まれています。今後、小型のバイオマス発電に期待が寄せられています。

バイオマス発電

 

  • 自然エネルギーとの組み合わせ

電源構成における再生可能エネルギーの中で大きな比重を占める自然エネルギーは、発電効率が天候に左右されるというデメリットがあります。安定した再生可能エネルギーのためには、バイオマス燃料の供給により安定した発電を行える、バイオマス発電と組み合わせることが有効です。

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